一般的に、遺品整理は四十九日法要を終えてからといわれていますが、実は遺品整理に決まった時期はありません。
遺品整理の適切なタイミングや業者に頼む場合の時期など、わからないこともあるのではないでしょうか。
今回は遺品整理の理想的なタイミングを、事前に準備するものや注意すべきことを踏まえながらご紹介します。
遺品整理をする時期とタイミング
遺品整理をするタイミングは四十九日、死亡届や保険の届など諸手続き完了後、相続税の申告期限など大きく分けると3つあります。
それぞれ詳しく説明していきます。
四十九日
四十九日とは故人の来世の行き先が決まるもっとも重要な日で、成仏を願い極楽浄土に行けるように法要を営む日のことを言います。
四十九日が遺品整理の目安と聞くこともあるかもしれませんが、実は遺品整理のタイミングで最も多いのは「四十九日の後」です。
理由としては、四十九日までは他にもやることがたくさんある、親族が集まるため形見分けなどがしやすい、精神的に立ち直るのにそのくらいかかる、などが挙げられます。
1カ月と19日と聞くと長いように感じますが、大切な方が亡くなった後では49日はあっという間です。
大切な人が亡くなり精神的にショックを受けているところに、初めて経験する複雑な作業が発生するため、それらに対応するだけで気持ちがいっぱいいっぱいになってしまうことが多いのです。
諸手続き完了後
家族や親族が亡くなった直後はさまざまな手続きが必要です。
死亡届や公共料金(電気・ガス・水道など)の解約、携帯電話・インターネットの解約や年金・保険関連の各種届出など、が挙げられます。
これらは多くの方が共通する手続きなので、個人によってはこの他にもしなければならない手続きがある可能性があります。
「自分の手続き」でも大変なのに、家族でしかも「すでにいない方」の手続きをするわけです。
一つ一つ役所や相手企業などに問い合わせしながら進める必要がありますので、こうした手続きをすべて終わらせるだけでも、相当な労力となります。
手続きがすべて終わり、ようやく余裕ができたときに遺品整理を始める、というケースも多いのです。
相続税の申告期限
相続が発生すると、相続税の申告をする必要があります。相続税の申告にも期限があり、相続が発生してから10カ月以内となっています。
10カ月という長い期間が経っていることもあり、この時期までには遺品整理を完了させる、というパターンが多くなっています。
遺品整理を急いだ方がいいケース
遺品整理に決まった時期はないとお伝えしましたが、急いだ方がいいケースもあります。
いくつかその例を紹介します。
賃貸物件にお住まいの場合
賃貸物件のなかにはアパート・マンション・公営住宅・社宅などがあります。社宅も会社からの賃貸物件と考えていいでしょう。
賃貸物件にはそれぞれのルールがあります。ルールの中には「入居者が死亡した場合は、いつまでに部屋を明け渡すこと」という内容が指定されています。
その日までには遺品整理を終えて部屋を出ていかなくてはなりません。よって、賃貸物件では期限に合わせて遺品整理を急ぐ必要があります。
公営住宅の場合
公営住宅には3種類があり、市営住宅(町営・村営住宅)、県営住宅(都営・府営・道営住宅)、公務員住宅があります。
どの種類も、退去までの日数・月数のルールはバラバラですが、3カ月というところが比較的多くなっています。
詳しくはお住まいの自治体にお問い合わせください。
民間の賃貸住宅の場合
物件や契約内容にもよりますが、基本的には6カ月は出なくても大丈夫と考えていいでしょう。
大家さんが入居者に出ていってほしいというとき、その時期は6カ月後でなくてはいけません。正当な事由が大家の側にあれば、6カ月以降なら退去を要求していいというルールがあるのです。
もしも、ご家族や親族が亡くなられて民間の賃貸物件に誰も住んでいない状況が続いても、6ヶ月は出ていかなくてもいいことになります。
ただしこの場合、家賃は発生していますのでなるべく急いで遺品整理を始めた方がいいでしょう。
相続税などの期限がある場合
相続税の申告にも期限があり、相続が発生してから10カ月以内となっています。
遺品整理~申告完了までの必要日数を考えると相続が発生してから9カ月目には遺品整理を始めないと間に合いません。
10ヶ月もあると聞くと長く感じますが、9ヶ月目には遺品整理を始めるように注意しましょう。
遺品整理を始めるときの注意点
遺品整理を始めるにあたって注意すべきことがいくつかあるので紹介していきます。
期間
遺品整理で故人の自宅や部屋を片付けるうえで大切なのは、片付けにどれだけの日程・時間をかけることができるかです。
同居している方が亡くなった場合、生前から故人の暮らしを把握しており、何がどこにあり、何をどう整理すべきか理解しているケースが多いです。
一方で、(地方の実家など)にお住まいの親御さんが亡くなった場合、何がどこにあるのか把握するところから遺品整理が始まります。
遠くに住んでいる故人のご家族や親戚が一同に介する期間や日程を調整するのも大変です。
会社にお勤めの方は忌引き休暇をどのくらい利用することができるのか、会社の就業規則を確認しましょう。
費用
遺品整理にはお金がかかることがあります。内容や作業によって金額はさまざまですが、作業に必要な道具を揃えなければいけませんし、ごみが大量に出ればごみ処理業者に廃棄を依頼することになります。
家具などをリサイクルに回す場合もあるでしょう。この時もリサイクルショップや不用品引き取り業者にお願いする場合も費用がかかります。
合計で数十万円、場合によっては100万円を超えることもありますので、まずは下調べをして予算を決めておきましょう。
不測の事態が発生しても、予算と照らし合わせながら対応することができます。
遺品整理を業者に依頼する時期やタイミング
故人が遠方の一軒家などに住んでいた場合、親族が日程を調整し何度も集まるのはなかなか難しいです。物が多ければ1日で終わらず、何日もかかってしまうことが想定されます。
そんな場合は、遺品整理を業者に依頼するのも1つの手段です。業者に依頼する際の時期やタイミングについて紹介します。
即日対応可能な業者もある
遺品整理を業者に依頼することを決めたら、作業をしてもらう日程を決めましょう。遺品整理業者のなかには、即日対応で作業してくれる業者もあります。
そのため、遺品整理をする日の直前でも業者に依頼することも可能です。
現地見積もりが安心
遺品整理の業者にはメールで写真を送ることで大体の見積もり額を出してくれる業者もあります。
すぐに対応してくれるので便利ですが、正確な額はスタッフが個人宅に来て行う現地見積もりで決まります。現地見積もりをしてもらったうえで、どこに依頼するか決めるのが安心です。
現地見積もりを考えると、遅くとも遺品整理の1週間以上前には動き出したいところです。
複数の業者に見積もりを依頼
遺品整理の金額は業者によって金額が異なります。依頼した業者が悪徳業者だった場合、相場より高い金額を請求されてしまう可能性もゼロではありません。
遺品整理業者に依頼する場合は、信頼できそうなところを複数社ピックアップし、相見積もりをとるようにしましょう。
まとめ
遺品整理の時期やタイミングについては正解がなく、気持ちの整理がついてからゆっくり行っても問題ありません。
しかしながら、賃貸の場合は退去のタイミング、遺品が多い場合の相続税の申請の期限など、気をつけなければならないことがあります。
遺品整理は自分たちでもできますが、親族が集まれる機会も限られますし、1日で終わるとも限りません。
そのため、遺品整理業者に依頼するのも1つの手段です。業者への連絡は遺品整理をする日程から逆算して、早めにするようにしましょう。